北ア 室堂〜薬師〜黒部源流〜新穂高

 *  ちょっと変則 日本オートルート *

日時 : 4月26日(土)夜発 〜 5月1日(木)、2日帰宅
形態 : 山スキー(160-DM)  メンバ:単独

  3年ぶりの日本オートルート。 今回は滑りを主体にと考え、予定は谷を滑っては登りを繰返して槍まで5泊6日という壮大な山旅プラン。  全部行ければ理想だけど、そんなに甘くないし、半分位行ければ御の字かな?

4月26日 移動日

 今回は贅沢にも旅情漂うブルトレでの出発、20数年振りの寝台特急・北陸で富山に向いました。
通路で金沢に行くという方と感傷にふけりながら交流、車掌さんに「消灯です」と言われるまで飲んでてしまいました。 でも、横になって寝れるのは年寄りには良いですね。

4月27日(初日) 富山→立山→室堂 〜 五色ヶ原

 今年のGWは後半がメインの日並び、それ程の混雑もなく順調に室堂に着いた。 8:00
予報では今日からずっと晴れだが、室堂は昨日の寒気が残っているらしくガス・氷点下の中、
一ノ越目指して 9:00出発

 

視界100m位

竹の目印便りです

 

ガスが上がり始めた

11月以来の眺め

 一ノ越 10:00 ここはやっぱり人だかり、雄山に登る人が多そうです、御山谷に入っているのは数パーティくらいかな。  シールを外し、まずは御山谷を標高差900m・1800m付近までの滑り。10:15滑りだし
雪は適度なザラメ、割と滑りやすいはずなのだが今回も軽量化には失敗した20kgの荷物、コケないようユルユル滑りの安全運転です。

1800付近からの針の木

稜線はまだガスです
10:40/50

 ここから、獅子岳東側の尾根のP2055脇のコル目指して沢沿いを登り返す。 さすがにこちらはノントレース誰も入っていません。 コルからは中ノ谷への沢筋を標高差300の谷滑り、ここもそこそこの傾斜で気持ち良く中ノ谷へ降り立つ。12:00/12:15 そして、夏道のある狩安峠へ再び登り返す。

なぜかアンテナ

狩安峠から少し上がったところ、なんのかな?

針の木

変わった構図にしてみました
ガス取れてきましたね

やせ尾根

左はカリカリ、右は不安定
少し緊張しながら通過

 尾根上から予定していたヌクイ谷〜越中沢岳コルへの登り返しの斜面を見るとかなり急斜面の オープンバーンに見える。 朝一カリカリバーンのあの斜面を滑り、登るのは「無理かなー!?」と 谷滑りの一つは却下、明日は尾根通しのルートに決定。
 五色ヶ原の平らな斜面に出た頃からガスり始める。 ここまで来れば何処でも同じと適当な場所にブロック積んでテント泊。 強くはないが一晩中風が吹いていたようです。

初日のルート

4月28日(2日目) 五色ヶ原 〜 スゴ乗越小屋

朝になってもガス・風の中、稜線の回復は遅れそうです。 待っていてもしょうがないので、まずは出発。6:45

撤収中

視界50m位かな

 ホワイトアウト状態の中コンパス頼りに鳶山への尾根を目指す。でも何の目標物もない五色の平原、 ルートファインディング能力を試されるが、やっぱり迷ってしまいました。 平原の端と思われる所でそれらしき 尾根に乗ったつもりだったが、どうも方向が合わない!?、仕方ないので、あまり使いたくはなかったがGPSで位置確認。 逆方向の鷲岳の方に向ってる! そして戻ってみると、また地形がどうも合わない。再度GPS確認、が1,2分しか 経ってないのにかなり位置が変わってる?! エッなんで。。。このGPSは捕捉当初はかなりの位置ズレを起こすことがあるので、 GPSさえも信じられなくなってきて、かなり焦ってしまいました。
 最後は、GPS現在位置とコンパス方向を信じて進み、それらしき尾根に突き当たりようやく鳶山のピークに到着。8:30 (よーく地図をみると鳶山への尾根が意外と回り込んでいる地形だった為に、方向が合わなかったようでした)  最初にGPS確認してから鳶山に着くまで1時間強。 迷っていました。。。

鳶山の下り

厳冬期の雰囲気です

 鳶山の下り、最初シールを外して滑り始めた。 このころからガスに切れ間が出来て見えるようになってきて、 その先スキー不可、夏道沿いのトラバースがあることが分かりアイゼンに切替える。 序々に視界も回復だが、 やらしい場所もあり楽な道ではないです。

雷鳥君

緊張感の中、癒されます

雪庇

 越中沢岳への鞍部に10:00/10:30 ここからシールに変えて穏やかな登りを進む。
 越中沢岳 11:40/12:10  再びアイゼンに変え夏道沿いを下り始める。

スゴ乗越〜薬師方面

山頂付近にはガス残ってます

 この下りも難儀しながらになるが、スゴノ頭のコルにたどり着いて一安心。 これで今日の難所はほぼ終りです。
そこからスキーに変えスゴ二の沢に滑り込む。13:15 今日はじめて滑りを楽しめました。
1950mの二俣(13:30/50)からスゴ乗越の鞍部(14:50/15:20)に登り返し、スゴ乗越小屋(16:30)着。

スゴ乗越小屋

ほとんど埋まっています。
前回来た時よりかなり雪は多いです。

 テントを張り、しばらくノンビリ。 昨日御山谷を離れてから誰にもあってないし、トレースもなかったので今シーズンの 一番乗りかも知れないです。 6時過ぎ頃に予想外の人の声、単独の方が来ました。 この時間に? ちょっとびっくりです。  横浜のK氏、五色をガスが取れてきた9時頃出てきたとのこと。 また、昨日はガスで五色の小屋が見つからずテント泊、 でも、今日見たら小屋から50m位の所だったそうです(GPS持っていても)。 小屋の人は「見つからないですよー」と言ってたそうで 、やっぱりガスの五色は恐いですね。

夕暮れ1

夕暮れ2

2日目ルート

4月29日(3日目) スゴ乗越小屋 〜 薬師沢右俣出合

 3日目、稜線にガスは残っているが、天気はよさそうです。
6:50 まずは間山目指して出発。、けっこう冷えているようで雪はカチカチなのでクトー使用です。

赤牛岳

そのうち行ってみたいところですね

北薬師へ続く稜線

雪庇がすごい

 北薬師までは、カチカチ斜面に苦労しながらもシール・クトーで展望を楽しみながら進めた。
が、そのピークの先が急斜面、スキーでは無理。 またその先も狭い部分があるので、アイゼン・ピッケルに変える。  そこからが長く・重かった(DM付き160板 5kg)スキーを担ぐと肩にズシリときます。  ゼイゼイいいながら、薬師のピークにやっと到着(11:20)。 先行していたK氏と握手、景色も良いし感動ものです。
 しばらくノンビリした後、滑りへ(12:00)。 避難小屋を右から回り込んで薬師沢右俣に入ろうと思い、そこまで滑ってみると雪庇が 張り出していてNG 「失敗した! 左に入れば良かった!?」。 
 その先をよーくみると山荘の辺りで雪庇が切れてそう、まずは、そこまでと滑って行く。  着いてみるとかなりの急斜面だが何とかなりそうなので、思い切ってエントリー。   幸い雪は適度なザラメ、 1ターン目が上手く回ったので、後は気持ち良くターンを刻んで、あっという間に沢床に着いた。

滑ってきた斜面

気持ち良かったです。

下流側を望む

奥は北の俣
この後は、ノンビリと沢を下る。

2100m付近

この辺りから割れだしてきて左岸沿いをトラバース気味に滑る。
(12:45/13:00)

薬師沢出合近く

この先、少し行くと完全に割れいてNG
左の尾根に上がり(13:30)、出合まで。

 出合に降りてみたが、ここも完全に割れるしブリッジもないので、スキー靴のまま渡渉です。

薬師沢本流

ここを渡渉です。
14:00頃

 時間的には赤木平まで行けそうだが、ここの雰囲気が良いし水も取れるので今日はここまで。 テントを張り、  あとはノンビリとした時間を過ごす。

3日目ルート

4月30日(4日目) 薬師沢 〜 黒部五郎 〜 黒部源流

 薬師沢に泊ったので、今日は双六小屋近くまでの長丁場を歩かないと槍までが難しくなる。 でも、めったに来れない 黒部源流で泊ってみたいなー、優柔不断のまま、まずは赤木平へ出発 5:20 

北の俣岳

いい天気ですね

赤木平より薬師岳

昨日滑った右俣を望む

黒部五郎

黒部源流方面

 赤木平 7:00/7:20 今日は素晴らしい天気です。 薬師をはじめ展望を楽しみながらの登り。
赤木岳の下でシールを外し、中俣乗越までトラバース、P2578に登り五郎手前のコルまで滑る。
 コル 9:45/10:00
 このころからこれまでの疲れが出てきたのか、ペースが上がらなくなってしまう。 五郎の肩を直接目指したが バテバテ状態でたどり着いた。11:00

黒部五郎肩から

相変わらず雪庇がすごいです。

赤木・北の俣

 肩からカールへ滑り込むポイントを探す。 まだ、滑った跡はないが、雪庇の一番端ちょっと切れている所から入る事にする。 けっこうな急斜面、雪はだいぶ緩んでそうなので大丈夫なのだが、いまいち弱気のまま滑り込んでしまった。11:30
 そのためか、グサグサ雪の最初のターンでバランスを崩し転倒、マズッ、(重荷で立て直せない。。。) 左ふくらはぎを右のエッジで思いっきりぶつけてしまった。 幸いすぐ止まったが、その先から表層がサーッと流れて行く。  異様に暖かいためか雪はグサグサ、あんまりよろしくないです。 それからは慎重にカールの傾斜が落ちるとこまで滑る。

滑ってきた五郎カール

右端から滑り込んだ

 その後は、ゆっくりモードで五郎沢を黒部川出会いまで楽しみながら滑る。

黒部川出合の様子

割れてるが、渡れるブリッジは結構あります。
出合 12:00

鷲羽岳

黒部源流を遡る

 五郎沢出合付近には数人のトレースが在ったが途中からはノントレース、誰もいない源流を一人黙々と歩く。  妙に感動・感傷的になってしまう雰囲気ですね。

黒部五郎

源流の台地から

 源流台地(15:30)は気持ちの良い所、体力的にも持たないので、ここで泊りとする。
 この時点で槍は諦めです。(スキーを担いで西鎌尾根を延々と歩く気力がなくなりました)

4日目ルート

5月1日(5日目) 黒部源流 〜 新穂高

 快晴の朝はノンビリ、静寂の雰囲気を楽しむ。

テン場

奥は祖父岳

ワリモ

岩苔乗越方面

 撤収中の8時頃、三俣山荘の方から2人パーティが滑ってきて、しばし交流。 五郎や双六の小屋ベースに この辺りを楽しんでるとの事。 昨日の五郎沢出合のトレースはこの方達だったそうです。
 8:20 三俣山荘に向けて出発。 今日もあんまりペースは上がらないです。
 三俣山荘 9:00/9:15 弥助沢に滑り込む。 今日も気温が高く、雪はグサグサ、  途中表層が流れる所もあり、いやらしかったが、それなりに楽しい斜面でした。
樅沢に下りて双六小屋に向けて登り返し。9:30/10:00
小屋に向けてのトラバースを経て双六小屋 13:20/13:40 意外と時間かかってしまった。

双六の冬季小屋

今年は営業してないので閑散としてます。
誰もいなかった。

双六谷

穏やかな谷に滑り込む
天気は下り坂、雲が下がって来てます。

大ノマ乗越登り返し点 14:00、ここから乗越まで300mの登り、これがきつかった。  雪はグサグサ、新雪の膝ラッセルと大差ない様な苦労です。ヘロヘロになりながら大ノマ乗越着 15:40
 そこから最後の滑り、グサグサ雪の大斜面に滑り込む。16:00
 ここで、下から登ってくる学生とおぼしき7-8人パーティと遭遇。何でこんな時間に登っているの? と思うが、 軽く挨拶して、通過。

途中からデブリが多くなる

大斜面を振り返る

デブリ帯の通過に苦労です。

最後、林道に出て、ひたすら下る。 わさび平の小屋も営業はしてませんでした。 (営業してれば泊ろうと思ってたが、甘かったか! )

木がなぎ倒されてる

雪崩のためかな?
前に来た時より、かなりデブリ跡が多いような感じです

 雪は割と下まで繋がっていたが、デブリも多く、林道を下るのにかなり時間が掛かってしまい 途中で日没。 ヘッデン行動、ヘロヘロになって新穂高温泉に到着です。19:40
 観光案内所は既に閉まっていて、宿探しはNG。 隣の山岳警備隊の事務所に出向いて聞いて見ると、 親身になって宿探しをして下さって、今宵の宿を手配してもらえました。 (ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます)
あとは、ノンビリ祝杯+温泉。 久しぶりに暖かい布団で休めました。

5日目ルート

5月2日(移動日) 新穂高 〜 帰宅

 宿の人にも親切にして頂いて、朝バスで平湯温泉へ。 新宿行きの高速バスが14:25、時間が有り余ってしまったが ボーっと山行を振り返りながら、高速バス・JRを乗り継いで帰宅・終了です。

 壮大な計画も7割位は達成できたかなー? それなりに充実してたが、技術・体力・精神力..どれもまだまだ、 道なかば...先は長いです。

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