日 時 | 2005年 4月29日夜〜5月6日 |
山域 ・ 山名 | 北アルプス 立山〜薬師〜黒部五郎〜双六〜新穂高 (日本オートルート) 計画では 立山〜槍〜上高地 |
形 態 | 山スキー縦走 (130 cm板) |
4月29日 移動日 | 池袋23:05発の高速バスにて出発 眠れるかと思ったが、バスの座席では完全に横になれないので良く眠れない。もう若くないので、夜行は無理が在るのかもしれない |
4月30日 1日目 | 富山5:50着/電鉄富山6:00 => 立山駅7:00/直通バス 7:40 => 室堂 8:40 立山駅に着いたらすごい人である。 室堂直通バスが出ているとの事で、その列に並ぶが何時のバスに乗れるか不安になる? それでも運良く7:40の時間指定に乗れたので助かった。 バスを降り室堂に着いても、観光客、登山者、スキーヤー、ボーダー 老若男女が入り乱れ、いったい此処は何処という感じである。 室堂 9:50発 天気は快晴 喧騒のなか、準備・腹ごしらえなどをして室堂を出発。 しかし荷物は軽量化を図ったつもりがうまくいかずスキーを含めずに20kg超になっている。 寝不足もありバテないようゆっくりペースで一ノ越を目指す。 ![]() 一ノ越を目指して 一ノ越 11:10/25 - 2500m11:35 - 11:45シール付け - 鬼岳の下12:35/55 一ノ越でも相変わらず人が多い。 騒々しいと思いながらも準備して、御山谷を2500m付近の竜王のすそまで滑り込んだあと回り込むようにトラバースし、その後シールを付けて竜王・鬼岳鞍部付近まで登りかえす。 ここまでくるとさっきまでの喧騒が嘘のように誰もいなくなり静かな山に戻っている。 その後鬼岳とその先のピークは登らず、トラバース気味に進み獅子岳手前の鞍部に着く。 トレースの様子を見ていると此処までのルート取りはいろいろ在る様でどれが正解かは判らない?。 ![]() 一ノ越から室堂・大日方面 ![]() 鬼岳のトラーバースから獅子岳。 遠くは薬師かな? ザラ峠への滑り出し地点 14:10/40 - ザラ峠下 14:50/15:10 - 五色ヶ原山荘16:20 獅子岳の急登をこなし、少しのアップダウンを進むと本日のハイライト、ザラ峠への急斜面である。 重荷ではあるが雪は丁度良いザラメで一気に行こうと滑り出すが、やはり重荷。 途中で太股が疲れてしまい休み休み滑る事になってしまう。 それでも気持ち良い標高差300mのバーンでした。 その後、五色ヶ原へ登り返し山荘へ、今夜のお客は5人X1、2人X2パーティ、+自分で、他の人達は明日、太郎平まで一気に行くとの事。 自分は少しでも荷物を軽くする為素泊まりに、また部屋は個室でゆったりと寝られました。 ![]() 五色ヶ原への登り返し ![]() 五色ヶ原から滑ってきた斜面を振り返る |
5月1日 2日目 | 小屋6:30 - 鳶山手前6:50/7:00(クトー) -巻き終わり7:20/35(アイゼン、ピッケル)−足を痛めた地点7:40/8:20-
越中沢岳9:40/10:00 - スゴの頭鞍部11:25/40 - スゴ乗越下12:25/35 - スゴ乗越小屋14:10 予報では今夜にも低気圧が通過するようで下り坂らしい、自分はスゴ乗越小屋までの予定なのでのんびりしていたが他パーティは4時に食事を頼み5時前には皆出発。 1人朝食とテレビの天気予報を見て小屋番さんに挨拶し、「曇り空か午後まで持つかな? 明日は停滞か?」 などと思いながら歩き出した。 未だ雪が硬いので鳶山の手前でクトーを着け中腹をトラバースするように進む。 巻き終わりの下りで狭い尾根と雪が切れている所が有るので、念のためアイゼン・ピッケルに替えて下る。 その先、ちょっとしたピークのトラバースを過ぎ下り続ける途中で、雪の上が進みづらくなり、夏道が出ている所に移ろうとハイ松の上に何気なく足を置いたその時。 「ブヂー」といやな音と共に右足のアキレス腱を思い切り伸ばしてしまった。 「ヤバイ、切れたか!」 と一瞬真っ白になる。 「山で初めて怪我した!、なにもこんな所で!」と思い、「そう言えば、昨日も今日もろくにストレッチしなかったからなー?」と言っても、「後悔先に立たず」とはこのことか! 気を取り直しゆっくり足首を動かすと何とか動く「切れてはいない、良かった」。 靴を脱いでふくらはぎを擦りながら、この先の事を考えしばらく休んだ後。何とか行けそうなのでアイゼンを外しつぼ足で降りる。しかし右足が雪にはまると凄く痛くだましだまし降りるのでペースがた落ちである。 越中沢岳への緩い登りからシールに替える。スキーを履くと足の動きが制限される為か、いくらかましになった。その後の下りもシールのまま滑れるギリギリまで降りるが途中からアイゼンに、その後夏道が完全に出てきてアイゼンも外す。 そして、さっきから見えていて如何しようかと考えていたスゴの頭への急登の鞍部まで着いた。つぼ足でこれを登るのはつらい。また、スゴ二の沢の方に滑った跡もあるが、こちらは途中から急斜面を横切らないとならないし降りすぎると登り返しが大変そう。 どちらを行こうか? 結局、沢を滑り、トラバースしてスゴ乗越に登り返す方を選んだ。 シールを外し今日始めての滑りの後、急斜面のトラバースに難儀しながらもスゴ乗越下50m位に着く、ここまで来れば大丈夫か? と一安心した。 ![]() 越中沢岳から薬師を望む 最後、スゴ乗越小屋までの狭い尾根の登りも、本当はつぼ足の方が良いのにと思いながらシールで登りきり何とか小屋に着き、少し下の樹林の間にツェルトをフライも付けて張る。 張り終えた4:00頃から雨が落ちてきた。 ツェルトの中で靴下を脱いで見ると右足は内出血して腫れている「肉離れかなー?、手当てはどうしようか?」 こんな事なら応急手当とかテーピングの本をよく読んでおけば良かったと思うがこれも「後悔先に立たず」しょうがない! とりあえずテーピングで適当に固定して安静にしてみることに。 夜中は雨が激しくなり、ツェルト内も水たまりが出来る状態になってしまうが何とか寝る。 |
5月2日 3日目 | 朝、目が覚めても雨が落ちている。 迷わず停滞と決め、そのまま悶々と寝る。10時過ぎ頃から雨が上がりその後、素晴らしい天気に。 これで濡れ物を全部乾かすことが出来て良かった。 その内ヘリが小屋の傍まで飛んでくる、遭難でもあったのか? でもこれは、後で知ったことだが富山のテレビ局が「春の薬師岳」?という番組の取材で訪れ沢の様子を偵察にきたらしい。 その後小屋まで上がってみると小屋の前に学生さんのパーティのテントが2張り、全然気が付かなかった。今日薬師を越えてきて、明日には立山まで行きたいと言っていた。 足は歩くと痛いが、動かさなければ痛くないので安静にしているようにしていた。 ![]() 雲 海 ![]() 夕 日 |
5月3日 4日目 | 小屋7:10 - 間山8:50 − 北薬師岳11:00/15 - 薬師岳12:15/13:10 − 避難小屋13:30 - 薬師峠13:50/14:30 − 太郎平小屋14:55 天気は文句なしの快晴の上、今日のコースはほとんどスキーで行けると思うので気分的には楽である。右足ふくらはぎをテーピング、軽くストレッチしてシールで登り始める。そして15分後、体が少し温まった頃入念にストレッチ。 もう若くないのだと再認識せざるを得ない、基本は大事です。 ![]() 越えてきた山々 今日の登りは割と単調、ほとんどシールで行ける。 ゆっくりペースで間山〜北薬師へ、この先薬師までの間の雪庇が結構凄い、雪が付いていない所もあり何度かスキーを脱ぐ、この辺りのコース取りは一寸難しいかも。 そのうちに薬師岳頂上に到着。 24年ぶり懐かしの山頂である「あの時は全面雪のはずだったよなー」としばし感傷にふける。 だいぶのんびりした後シールのまま避難小屋付近まで行きそこでシールを外す。 ![]() 薬師からの眺望 滑る分には足に痛みは来ないので、今日最後のお楽しみである。 そして丁度良い傾斜の尾根を気持ち良く滑って行き、途中コース修正しながら、薬師峠への最後の樹林帯へ。そこを滑って行くと三脚を構えた人がいて、誰を撮っているのかと思ったら自分を撮っていたらしい。 峠に下りると10人位の人が休んでいて、少し話しをするとテレビ局の取材できているとの事。 昨日のヘリもこの人達だった。 峠を登り返し太郎平小屋へ、小屋には大勢の人がいて昨日と別世界のよう。早速ビールで喉を潤す。 今日は食事付きで泊り、栄養補給と休養を優先する事にした。 |
5月4日 5日目 | 太郎平小屋6:40 - 北ノ俣岳8:20/45 - 中俣乗越9:05/25 - 黒部五郎カール上10:55/11:15 - 五郎小屋11:45/12:20 - 三俣蓮華15:15/15:35 - 双六小屋 17:15 予報通り、今日も快晴。 足のテーピングをし直して北ノ俣岳へ向かう、この尾根はなだらかな広い尾根で登り易い。 途中、体が温まったころストレッチしてのんびりペースで進む。 北ノ俣では、昨日薬師頂上で会った人と、小屋で隣だった人に合う。 2人共黒部五郎に登り、ウマ沢を滑り赤木沢を登り返すコースだそうだ。 確かにこの辺は何処でも滑れるような山スキーの別天地に思える。 北ノ俣からは、シールを外し、赤木岳を目指し滑る。その先赤木岳とその先の2,3のピークを巻くように延々とトラバースして最後の斜面を滑り中俣乗越しに至る。 そこからシールを着けしばらくすると黒部五郎の急登へ、此処は山頂へ直登せず、斜めに五郎カールの滑り出し地点を目指し登った。 ![]() 延々とトラバースした北ノ俣〜赤木岳 カールの上に立つと全容が見える、雪庇が凄いのとその広大さに驚いた。カールの左端、最も傾斜が緩くなっている所を皆滑っているようで、自分もそこから滑り込むことにするが、それでも滑り出しは35〜40度近いのでは無いのだろうか? 雪はザラメなので思い切り飛び込め広大なカールを気持ち良く滑る。 ![]() 黒部五郎の雪庇 途中からトラバース気味に五郎小屋を目指し最後の一滑りで五郎小屋に着く。 しばらくのんびりした後、今日最後のピーク三俣蓮華を目指すが、やっぱり登りは辛い、重荷と足の痛みとで全然ペースが上がらず、かなり時間を掛けて山頂に着いた。 此処で雷鳥君がひょっこり顔を出し、多少とも心が和む。 ![]() 三俣蓮華より五郎カール いよいよ最後の滑り、ここからのカール状も気持ちよさそう、少し滑り、双六小屋目指しトラバースに入る。しかし途中ハイ松の尾根に行く手を何度か阻まれ、登り返しを含めて以外と時間を食ってしまった。 トラバース後最後の一滑りで双六小屋に到着。 とりあえずビールを頼み一息つく、テント場にツェルトを張り本日の行動終了。 夜、天気は良いのだが風が有り、ツェルトがバタバタとうるさい。 |
5月5日 6日目 | 双六小屋8:10 - 2622P 8:50/9:00 - 弓折岳 9:50/10:10 - 大ノマ乗越 10:15/30 - 一旦スキーを担いだ橋の所 11:05/25 - わさび平 11:40 - スキーの終わり 11:50/12:10 - 新穂高温泉 13:15 早朝は、風と少し雲が出ていたが、その後青空に。 いよいよ最終日、とうに槍は諦めていたので今日は新穂高に何事も無く降りられることを祈るだけである。 とは言っても用意した2.5万図は弓折岳までしかない、エリアマップは在るがこれだと地形が良く解らないし、スキーの場合、何処を降りているのか良く調べてこなかった? とりあえず、夏道を弓折岳まで行くこととしてトラバース気味に稜線をめざす。 しかし、見ていると他のスキーのパーティは双六谷をそのまま滑り降りている。谷の先は何も無いはずでは? と思い良く地図を見てみると大ノマ乗越の下まで滑り、乗越に登り返しして小池新道側に滑り降りているらしい。その方が楽だったかな?と多少後悔しながらアップダウンがあって途中スキーを脱ぎながらの稜線を歩き弓折岳に着く。 弓折岳からは、まず大ノマ乗越し目指してシールを外し滑降。乗越しに着くと結構大勢の人がいて、そのうちに双六から先に滑っていったパーティが登ってきた。登り返しの時間を考えるとどちらのコースも時間的には大差なかったみたい。 ここから見る斜面は、期待以上というか大雪渓を思わせるような長く広大な斜面で凄い、滑り出しがちょっと急で慎重に滑り込むとその後はザラメ雪を気持ち良く滑って行ける。下部になるとグザグザ雪となり苦労するが、最終日を飾るにふさわしい滑りが出来た。 ![]() 広大な斜面を振り返る 最後、痛めた足には長く辛い林道歩きを経て新穂高温泉に無事到着。 とりあえずビールで長旅の疲れを癒した後、どうやって自宅まで帰るか考えたが、高山行きのバスが有る事しかわからないので、観光案内に聞いて見ると、バスで平湯温泉へそこから高山→新宿の高速バスが在るとの事。ただ時間が迫っているのと高速バスの予約が取れるか判らないので、今日中に帰ることは諦め、ゆっくりと温泉に浸かった後、バスで高山に。 |
5月6日 移動日 |
高山AM6:30発の新宿行き高速バスで帰路についた。平湯温泉経由なので、昨日ここまで来ないで平湯温泉に泊れば良かったと後悔したが、ま、いいか。 新宿12:00→自宅2:30頃 医者に行ったら、やはり肉離れ(内側の腓腹筋)との事。「軽くは無いが,重傷と言うほどでもない」と言う説明に「並か?」と妙に納得してしまった。 とにかく、しばらく振り(20年以上)の長期縦走が無事(でもないか?)終わりほっとした。 やはり、この充実感、は素晴らしい! |